2006年1月12日

ところで家の見積りとか


「なにその家。おもしろそう! やらせて」。
そう言ってもらった工務店さんがありました。

話はさかのぼって、家の見積りを取ろうとしたときのことです。
実際に家を建ててもらうのを、どこにお願いするのか…。

私たちの建てようとする家は、工務店さんにとって「やりたい」と思う家ではない、そう思いました。
街にたくさん建っている建売の家は、利益が生まれるようにつくられています。工程が増えれば増えるほど、建材の種類が増えれば増えるほど、設備が豪華になればなるほど、そこに儲けが出ます。
工程を少なく建材の種類も少なく豪華な設備を入れない、逆をしようとしている私たちのつくろうとしている家は、儲からない家、しかも小さいので手間のわりにはますます儲からない家。構造あらわしなので手抜きのできない家。工務店さんにしてみれば、言ってみれば「ウマミ」のない家です。

ただひとつ、「おもしろい」と思ってもらえる。「やってみたい」と思ってもらえる。
それが望むことでした。
…そう言ってもらえるところがあるのなら、その工務店さんにお願いしたい。
そして、設計事務所さんは、その工務店さん1社に見積りをお願いしました。
1ヶ月半、待ちました。

出てきた見積り額は、あまりにもはずれた、努力のあとも見られない、検討の結果も見られない金額。
1ヵ月半待った時間はなんだったのか…。
その時間のあいだにも、早くその場所に住まわせたい子どもたちは成長していきます。できるだけ丁寧に建てていただきたいと、余裕をみて施工期間をとっていました。その余裕がただ無駄に失われました。私たちの時間を軽んじている金額を出す工務店さん。その工務店さん1社だけにしか見積りを依頼していなかったのは、失敗だったんじゃないのか…なぜ2~3社に同時に見積りを依頼しなかったのか…。

でも、大事なことは、本当に、この家を建てたいと思ってくれていたのかということです。

あらためて、他の工務店さん2箇所に見積りをお願いします。短い期間ながら、明細のある見積りを出してくださった高政工務店さんに、家を建てていただいています。短期間だったのに答えを出してくれた…それは誠意と思えました。
お任せするのだから、信頼できるところにしたい。
それは結果的に抑えられた金額ということにもなりました。

でも、今になって、思うことがあります。
「本当に、私たちの家は、「ウマミ」のない、工務店さんにとって「やりたくない」家だったのかな…」
「儲けだけを考えて、どの工務店さんも仕事をしているわけでは、ないんじゃないかな…」

東京町家をつくる会』の工務店さん、創建舎Nさんに「やりたかったです」とひとこと声をかけていただいたとき、なにか自分の思い込みが間違っていたのではないかと、ふと思いました。

本当につくることの好きな人は、最終的には受け取り手の喜びだけが支えです。
それは、もののつくり手だったかあちゃんが、よくわかっていたことのはず。
そんなつくり手は、実は、たくさんいたんじゃないかって。

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相見積りに関するアンケート
○あなたの立場は: 
  施工者 設計者 ●住まい手 その他( )

○相見積りについて:
  良いと思う 良くないと思う ●わからない

○相見積りを依頼しますか(住まい手):
  する しない ●わからない

○設計と監理がしっかりしていれば、誰がつくってもほぼ同じ物が出来ると思いますか:
  思う ●思わない わからない

○同じ図面で見積りしたのなら、安い価格の業者が良いと思いますか:
  思う 思わない ●見積り内容による

○相見積りをしたことがある方は、過去に最高と最低で何%ぐらいの差がつきましたか:
  ?%

OMソーラーの家「東京町家」 相見積りについて考える


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住宅雑誌を読むと、相見積りをして少しでも安く良い家を手に入れようと書かれている。設計事務所に依頼すると、相見積りにして予定価格に近づけましょうと言われる。本当に... 続きを読む

コメント[4]

TBにご参加頂き、ありがとうございました。
設計事務所に依頼した住まい手の、複雑な心境がとても素直に読み取れました。こんなお話を伺いたくて今回の企画をしました。工務店側の話は聞く機会が多く、相見積りに否定的な方が多いようです。でも、現実に行われているのは良いことも多いはずです。今回は、こちらの意を理解してくれそうな1社に絞り込んで依頼したが、結局勘違いで、2社の相見積りになってしまったという特殊なケースですね。
なかなか自分達の意を解してくれる工務店に出会うことは難しいですね。これは設計者にしても同じ。だから、良い工務店に出会えた設計者は、その地域の仕事の場合そこに特命で依頼することが多いのです。
良い施工者に出会えてよかったですね。

東京町家さんのブログは、読み応えがありますね。素晴らしいですね。

私は建築家さんの世界とか設計とかデザインの世界はまだわかるのですが、工務店さんとか大工さんとかの世界はあまりわかりません。結局、どこで建ててもらうかは、建築家さんの判断に最後はおまかせするしかないですね。

でも、なんとなくわかることもあります。大工さんは建築家さんを「嫌って(?)」いたりして、「てやんでぃ、ズメンでしか考えてないセンセイにナニがわかるってんだ、そんなモンなくっても板っきれにチャチャッと書きゃ家ってのはできるんだよ、ウデだよウデ」みたいな。同じ、家をつくる人なのに、相反する世界だったりもして、それなのに一緒につくっていたりもして、そのへんはいったいどう考えればいいのかなぁと…。冷静なディレクションと計算の建築家さんと職人気質の工務店さんと…うまく噛み合えばいいのでしょうけれども…建てていただく側としては、そのへんをどう考えたものなのかと常日頃疑問です。

プライドのある大工さんなら安請け合いはしないでしょうし、納得のいくまで時間をかけるでしょうし…でも建築家さんはコストを調整するのが仕事ですし、予定通りに進行させるのも仕事ですし…。

縦横無尽にいろいろな立場の人がいる世界で、いったい何が正しいのか、金額だけから施主が判断するというのは、なかなか難しいことですね。

junさんの上のコメントを拝見して、感心し、思わずうなってしまいました。なんてよく真相を見抜いていらっしゃるのでしょう!
こんなにも立場の違う人たちが集まって、一つの家を造る。家づくりは本当に奥が深いですね。
今後も、楽しみに読ませてもらいます。^^

ranrunrinさん、いいいやぁ…そそそそうですか? ありがとうございます。
いちおう業界の片隅にいたこともあったので、それなりにいろいろと知らないこともないのですが…。まぁでも昔の話ですけど…。

深いですよね。建築家さんの世界ひとつとってもふかぁーいです。
実はこのブログの家のエントリーで、家づくりの世界にちょこっと突っ込みを入れようかと思っていたのですけれども、世の中が耐震強度偽装問題でいろいろと教えだすようになったので、ちょっと出る幕でもないかと控えています(笑)。

合い見積りを、あえてする建築家さんもいますよね。仕事に新鮮味を持ちたいとか領域を広げたいとかで。これが一般の住宅でなくて公共事業とかだと、合い見積り→「安ければいい」 と単純になっちゃったりするのでしょうね。で談合だなんだと。合い見積りを嫌がる工務店さんは、そういうのを嫌っていて、一般の住宅でも合い見積りをあまり良く思われないのでしょうかねぇ。

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