2005年7月20日

家、冷えてます


なんだか、力学とか工学とか、そんな世界になってきた。

建築設計事務所Sさんに打ち合わせに行った。図面を見ながら、筋交いを入れる場所と、窓とか戸とかの開口をどうするかをだいたい決めた。基本的に戸も窓も全部引き戸。玄関やテラスに面している開口はなるべく引き込み式にして、目いっぱい開け放てるようにしたい というような話をする。

ひとつひとつ決めるのは結構時間がかかったけれど、だいたい決めた後、「井戸水クーラーって何?」という話もする。とうちゃんは理系の人で、冷える仕組みだとか暖める仕組みだとかは得意な分野だ。「最近のフロンガスが通っているクーラーだと管が細いかもしれないので…云々」とか、建築家さんに説明したりしている。とうちゃんには、どういうふうに作ったらいいのかが見えているらしい。なんか珍しく目が輝いている。

屋根に井戸水を流す計画の話もでてくる。図面にある家の屋根は、長屋の敷地に沿った細長い形で三角屋根。この三角の頂点にスッと1本、管を通して井戸水を流せばいいことなので、なんだか簡単にできそうな雰囲気。うまいことに、北側の斜線規制で斜めに切られる部分の屋根は屋上にしてあるので、そこから井戸水を流せばいいだけのよう。

「長屋の形は風洞のようになるから風が通る」と、建築家さんがおっしゃる。太平洋に吹く風は東京湾に流れ込み、東京湾に集まった風は多摩川に勢いよく流れ込み、多摩川を駆け登った風は川に面した道路に流れ込み、そしてこの長屋の敷地に建つ家を風洞のようにして通り抜ける。
そういうの、なんていう現象なのか、ホニャララの法則とかのきっと名前があるのだろうけれど、理系は苦手のかあちゃんにはよくわからない。通り道が細くなっていくにつれて、風とか水とかって勢いは強くなっていく。
小さな小さな長屋の敷地が、地球規模の風の流れとつながっている。

南に大きく開けた開口に、よしずを立てかけて井戸水を打ち水すれば、太平洋からの風が風洞のような家の中を冷やしてくれるだろう。屋根に井戸水を流せば、夏の日差しの暑さを和らげてくれるだろう。家の中でちょろちょろとクーラーに流れているのは井戸水。
かあちゃんは、井戸が見つかったとき、夏、スイカやキュウリやトマトを冷やそうと思っていた。
けれど、夏、冷やすものが、家になった。

計画に思索を巡らせている男たちは、まるで、新しいオモチャを手にしたよう。


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コメント[4]

>夏、冷やすものが、家になった。
いいですね、スイカよりスケールが大きくて。

来年の夏は、家の前に「家 冷えてます」の吊り旗かけます。千鳥が飛んでるやつで。「ます」は□に/の枡。

そういえば、昔カーエアコンが出始めの頃、自家用車に「冷房車」のステッカーを貼っていましたね。
「冷房家」のステッカーも外壁に貼ろう!

東京町家さん、いつもありがとうございます。

でも、それ、フツーに冷房している家なのでは…。

と、恐れ多くもツッコミを入れてしまったりして。

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