2005年6月13日

解体 長屋 井戸


古い家の解体がほぼ終わった。すると、お隣の方がたいへん怒っていると連絡がある。

解体屋の社長さんとU不動産のUさんととうちゃんと3人がすっとんでいく。お隣は、生活に使う水を全て井戸水に頼っていた。それが濁ってしまったのだという。お隣には井戸があるのだ。水道屋さんが見たところでは、とにかく、地下の水脈に少し土が落ちてしまったらしい。

井戸のある土地を何度も解体してきた解体屋の社長さん、こんなことは初めてなのだそうだ。お隣の井戸水が濁ってしまった原因はよくわからない。敷地に刺さっていたパイプを、現場に当たっていた人が考えずに抜いてしまったためなのか。それはおそらくウチの敷地にもかつてあった井戸のなごりだったのだ。井戸を埋めるときに、気抜きのために細いパイプを刺す。水神さまのために刺すとも言うそうだ。それを抜いたので、土が落ちてしまったのか。それとも基礎を壊した振動のせいなのか。

しかし、よく話を聞くと、お隣の方が怒っているのは、井戸水のことというよりも、解体屋さんやU不動産さんの手配がなっとらんということらしい。相手があることなんだから、商売をしている立場の人はキチっとやれと。解体にしても、「これから解体します」だけでなく、いつ外壁を壊していつ基礎を壊すのか工程を事前説明するべきだと。こっちも客商売してるんだ、お客さんの立場や都合を考えるのが商売というものだろうと。
お隣の方は職人さんなのだ。職人気質なのだ。一所懸命にいろいろとしてくれているUさん、かわいそうだけれど、お隣の方の言うことももっともだ。これから建てる家も工程の事前説明キチっとしよう。

いろいろと話をするには、この敷地の場所は、以前、おそらく戦前から戦後のころ、長屋だったのだそうだ。長屋の裏には共同の井戸があり、その井戸はちょうどウチの敷地のはじにあったらしい。お隣は、ずっと井戸水を使ってきて、共同の井戸が埋まってからも、井戸を使い続けているらしい。かなり水量のある水脈が、ウチの敷地とお隣さんの敷地の地下を通り抜けているのだそうだ。

お隣の方にはご不便をおかけしてしまった。Uさんも仕事が増えてしまった。解体屋さんは井戸の修理を弁償になるのだろうか。井戸のことをわかる人はもう少なく、後日専門の人によく見てもらわないとどうすればいいのかも誰もわからない。それに、井戸を埋めた上には建物は建てられない。
それなのに、「長屋」「現役の井戸」という言葉に、少し浮き足立っているかあちゃんがいる。


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