2005年5月29日

M社のプラン


M社のプランができたそうなので、一家で事務所まで行った。

M社は、建築プロデュース会社だ。登録している建築家さんが設計してくれることになる。要望を伝えたり話をしたりするために、以前一度事務所へ行っている。担当の建築家さんと最初から話をすることができた。

出されたプランは1案。他社のT社では2案出してもらっていたので、とうちゃんは「1案だけ…ですか?」と聞く。「いくつも案を出すのは力がないんだと思いますね」と建築家さん。
プランの説明を受ける。平面的な図と、イメージ写真。図面に描かれた間取りは、なんとなく想像していた通り というかこの間取り図って、かあちゃんが自分で試行錯誤して考えて何枚も描いたうちのひとつとよく似ている。しかもそれは自分で却下してしまった図。でもそこは建築家さんなので、うまく納めて形にしてある。
コストを抑えるためには、内装を省くとか作業工程を省くとかいう方法をとっている。在来工法で、開口部はかなり大きく考えてあり、吹き抜けもある。
でも、プランは、容積率がずいぶんあまっていた。できればフルに使いたいのがこちらの希望だ。それもあって、このプランの家ではちょっと狭いなと、かあちゃんは思ったりする。

図面の説明をひと通り受けて、とうちゃんは、「これだけ……ですか?」と聞く。T社ではプランと一緒に分厚い見積書や仕様がこまかく出ている。M社では、どうやら、そういうものは、なにもないらしい。
「契約してもらえますか?」と聞かれる。とうちゃんは、「こちらも高い買い物をするのだから、資金の計画を立てられるようなものを書面で出してほしい」とかいうことを、いろいろと言っている。

図面だけを見せられて、「この予算でこれが建つでしょう。だいじょうぶでしょう」と口先で言われただけで、ゼロがたくさんつく金額の品を「はいじゃあ」と、買えるだろうか。家が建つまでのスケジュールも出してもらってないのに、ある日「これだけかかりましたからお金を払って」と言われて、すぐお金を出せるものだろうか? まぁ言ってみれば、建物の図面だけでは、ただの紙っぺらだ。その紙っぺらだけで「契約を」と言われても、場合によってはずいぶんと高い紙っぺらにならないとも限らない。とうちゃんのそういう発想もわからないではない。
M社と建築家さんに、そのあたりを詰めてもらうように要望を出す。

打ち合わせ中、子どもたちの相手は、M社のプロデューサーさんがしてくれていたので、時間いっぱい、かあちゃんも建築家さんと話をすることができた。

出してもらったプランは、「!」というかんじではなかった。でも、こちらの希望をそのまま盛り込んであるのだから、想像どおりの図が出てきても、それは当然といえば当然だ。むしろ、建築家さんとしては、こちらの想像どおりにつくったのだろう。
しかし、建築家さんに考えてもらって建ててもらうということは、おのずと、その建築家さんのカラーの出た建物になるわけで、かつてモノのつくり手側の立場だったかあちゃんが、建築家さんという他のつくり手が考えた家に、果たして気持ちよく住めるものなのだろうか? と、帰り道に、なんか深く考えたりする。


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コメント[8]

プランが出てくると、一気にリアリティが出てきますね。
基本的に建築家さんが言うように1案で正解です。
複数案出すのは、インタビューがいい加減な証拠。
あるいは、絞込みが甘い証拠。
1案にちょっとがっかりする気持ちも分かりますが、ここは真剣勝負。
自分達が伝えたことを、何処まで理解し、夢を膨らませてくれたかを判断して、今後の取り組み相手を決めましょう。
多分ここで「契約」と言ったのは、設計契約のことで、この人に託せば素敵な家になりそうだと思ったら設計契約を!迷うんだったらきっぱり止めるべき。
この段階で、分厚い見積りは出ません。せいぜいぺらぺらな概算予算書程度です。設計契約をして打合せしながら詳細な図面を作らないと、分厚い見積りは出来ません。現段階で出る方がおかしい。
今判断しなくてはいけないことは、建築家に依頼して設計するか、自分でプランを組み立てて代願屋に図面化して頂くか方針を決めること。
ご夫婦良く話し合って、自分達に出来ること出来ないことを整理すれば、答えは出てきます。
ここの判断が、今後の家づくりに大きく影響します。

東京町家さん、コメントをありがとうございます。

今はまだニュートラルな状態で、どこにお願いするかは判断していない状態です。家を建てると言っても、今、いろいろな形態や業種があるようで、それぞれのメリットやデメリットもいろいろで、検討の材料集めの段階というところです。
「この方(会社)と、長くおつきあいができるのか」と思ったりしてお話を聞いたりしています。建築家さんやプロデューサーさんにもいろいろな方がいらして、進め方や社風もいろいろなので、もう少し検討を重ねてみようと思っています。

アドバイスをいただいて恐縮です。ありがとうございます。

東京町家さん、アドバイスいただきありがとうございます。

建築家さん(会社)の視点も様々であり、視点が違うものを比較検討するのは、とても悩んでしまいます。1つの工法や材料をとってみても人によって評価が異なるので余計に悩んでしまいます。私達が何に重きをおくか優先順位をつけて検討することが第一歩であるとは思いますが、最後は東京町家さんがおっしゃる通り、「この人に託せば素敵な家になりそうだ」と思った人にお願いすると思います。

おまけですが、「1案だけですか?」と聞いた訳ではなく、明らかに内容が異なる設計書が目の前に3冊程見えたものですから、「3案もあるのですか?」と聞いたのです。実際は、1冊は私達用に用意された写真付のもので、他は写真なしの図面だけのコピー(控え用)のものでした。
つまらない質問ではあったのですが、建築家さんの思いといいますか、考えを垣間見ることができたような気がします。

ご夫婦それぞれのご意見、ありがとうございます。

実は、建築家は敷地を見ると、幾つもの案が浮かんでくるのです。その中から、種種雑多な要素から振幅しながらだんだん絞り込まれていくものなのです。ぼけていたものがだんだんピントが合うように。
実は設計の仕事って、こんがらがった毛糸の玉をほぐすように、一つ一つ条件を解きほぐし、場合によっては切り捨て繋ぎ直し、一本の毛糸に仕立てるような、地道な作業なのです。
この作業なしには、絶対住み心地が良い家は生まれません。
そして、複数案出すということは、この地道な作業を放棄していることに他なりません。

ただし、例外的に2案出す場合があります。
住まい手が自分の案にこだわり、聞く耳を持たない場合、その案がいかにバランスが悪く使いづらいかを証明するために、言われるままに一旦作って提示し、自分が作った案と比較して、こちらの考え方に興味を持って頂く時です。
その場合、先に出す案が、住まい手の希望を100%忠実に取り入れた案で、後で出す案に比べて図面密度も低いものです。

このケースが実に生き生きと表現されたHPがありますので、参考にしてみてください。
http://www.minc.ne.jp/~yurakuan/takaji-sumai3.htm

東京町家さん、私どものコメント対してさらにコメントを頂きありがとうございます。

早速、ご紹介いただいたHPを時間を見つけて拝見させていただきたいと思います。

ところで、M社というのは、建築プロデュースの会社です。プロデュース料も発生するのですから、プロデュースの作業として、たとえば、同じような規模の建物を自社で建てたときの最終的な見積書をざっと見せていただいて「一例としてこんなかんじでしょうか」とか、具体的な資金計画の相談や支払いの流れとか(いつの時点でいくら必要になるのか。注文建築なので、建物ができあがるまでに何度か支払いがあるわけです)、そういった話があってもいいのではないかということです。

また、見積りが出たT社の場合は施工も自社でしているので、見積書をすぐ出すことができるのです。

どちらも、建築家さんの設計事務所に直接依頼をしたというわけではありませんので。

こんばんは はじめまして
私は新築を建てた経験がないので偉そ気なことは言えないのですが、高いお金を払って建築屋さんの作品に住む といった事にならないように、と思います。リフォームでさえ、なかなかこちら側の意図することが伝わらなかったり、専門知識の面で弱者である施主の希望を否定されたりいろいろありますよ。それはその家一つひとつが建築士の実績になるからかも知れません。
junさん おとうちゃんさんの家のイメージができているなら 自分の手足になってくれて細かな注文が出来やすい建築士を選ぶことも大切ですよね。

masahsierikinariさん、コメントをありがとうございます。

そうなのです。そういうことなのです。

詳しくは書きませんでしたが、いろいろな部分から、masahsierikinariさんがおっしゃられているようなことを感じた というのが、このエントリーです。

ブログ、拝見させていただきました。とても参考になる内容ですね。ありがとうございました。

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